TS-930S(KENWOOD HF TRANSCEIVER)
伝説の最高級機TS-900の伝統を引継ぎ登場したのが、このTS-930Sです。
終段にモトローラのMRF-422×2を搭載し、30Vで駆動しているため、低歪みで、リニアリティーの高い電波を発射することができます。
また、IF SHIFTやWIDTHを一歩進めたSSBスロープチューンや、効きの良いIF
NOTCHを実装し、混信対策も万全です。
TRIOの900番台は、どれも皆素晴らしく、甲乙つけ難い名機揃いでは有りますが、個人的にには、このTS-930が一番好きです。
・ 特徴
下の写真はパネル左側のスイッチ、ツマミです。
パネルにアルミダイキャスを採用しているため質感が高く、操作する時の気分はFBです。
RFスピーチプロセッサーですが、IN/OUTが調整できるタイプで、効きは大変良好です。
MODEスイッチにあるTUNEポジションですが、これはAT TUNEのポジションで、ここで送信すると、チューニングを始めます。
最近の機械のように早くはありませんが、確実にチューニングしてくれますよ。
キャリアー調節が前面パネルにあるのは、とても使いやすいですね。
パネル右側のスイッチ、ツマミです。
SSBスロープチューンは、Low/Highのカット量を単独で調整できますから、効果は絶大ですし、NOTCHの効きもすこぶる良好です。
CW関係では、AF
TUNEとPITCHがうれしい機能です。
PITCHで好みのトーンに合わせ、その周波数にAF
TUNEでオーディオ帯域のピークを調整します。
CW
VBTは、オプションのCWフィルターを実装すると、あまり出番はありませんね。
発色が綺麗で見やすい表示部。今のところ、経年変化はありません。
メーターはアナログの大型タイプで、とても見やすいですよ。
・ 気になる点
(1) ディレイVRが前面パネルにない
上部スライド扉内にあり、調整が面倒です。前面パネルに欲しかったです。
(2) FANの音がうるさい
個体差があるとは思いますが、FAN(特に電源用)の音がうるさい、と言うか、下品な音です。
FANモーターの軸に油を注入し、かなり改善されましたが、FANが取り付いている構造物が共振して、うるさくなっているようです。
最近、FANモータの新品を入手したので、今度交換してみましょう。
(3) 電源部の発熱
電源部がやたら熱くなります。そのため一定時間経過すると電源用FANが頻繁に動作し、騒音を撒き散らす悪循環に陥ります。
熱くなる原因は、大半が電源部FANの裏側に付いている抵抗からの発熱です。
TS-930では、低圧(12V、5V)を作り出すのに、高圧(ファイナル用28V)から一度、抵抗とツェナダイオードで減圧し、それをレギュレター
でさらに落とす方法をとっているため、余計な熱が発生してしまうようです。
送受信に関係なく発熱するため、ワッチしてるだけでも電源FANが騒音を撒き散らし、始末が悪いです。トホホ
ネットで調べると、減圧用の抵抗を全て取り払い、レギュレターだけで作り直している方もおられるようですね。
尚、同じ900シリーズのTS-950SDは、そんな減圧用抵抗など見当たらず、発熱も普通です。
TS-940は930以上に発熱すると聞きましたが、事の真偽は分かっておりません。
(4) 上部スライド扉が開け難い
これも個体差があるのでしょうか?とにかく開け難くて・・・
ディレイ調整がここになければ、特に気にならないことなのですがね。↓これ
・ 注意点
かなりの発熱がありますので、設置場所には注意が必要と思います。