TS-950SDの修理


  14MHzのSSBで珍しいところが出ており、久しぶりにシルバーイーグルを握り締め、ジャパ〜ンとやりQSOしたまでは良かったのですが、
 その後、電源を切ったところ、なんか変な切れ方をしまして。 そう最後にFANが回らなかったような・・・
  嫌な予感がしたのでもう一度電源を入れると、一瞬ディスプレイがついて直ぐ電源が落ちてしまいました。
  その後は、POWスイッチをいくらON/OFFしようが、電源が入りません。が〜ん
  今から10年前ぐらいでしょうか、RITが動作しなくなる故障を直し、昨年でしたかFANの交換を行って、今回3回目の修理です。
  なんせ当局の主力機ですから、即修理実行です。

  


 
・ 現状確認
  重くてでかい本機を机の上から下ろし、蓋を開けてみたところ、案の定、電源ヒューズが切れておりました。
  (電源ヒューズは、トランスとスピーカの中間にある基板にあるヒューズです)
  ひょっとしたら単にヒューズの老化という期待もありましたので、交換して電源ONしてみると、正常に立ち上がりました。
  しばらく様子を見ていると、なんとなく焦げ臭いような・・
  そのうちファイナルユニット周辺から煙が・・・
   

  ファイナルユニットを開け中を拝むと、R22が黒こげでして・・。とほほ
  (写真中央VR2の上)
   


・ 原因・対処
  回路図から追っかけるとQ7が怪しいためテスターでチェックすると、見事にECB全てショートしてるではありませんか。
  +15VがもろR22にかかるため、焼けてしまったようです。さらに調査するとVR2も内部が溶けてしまっていて、使用不可でした。
  ご臨終のQ7・2SD1406ですが、手持ちの関係でスペックが同等以上?の2SD525へ交換し、R22とVR2は同等品に交換しました。
  (2SD525はフルモールドではないため、取付けには絶縁が必要です)
  この時点では、”ああこれで修理完了だ”と真面目に思っておりましたねえ。まさか更なる悪夢が待ち受けているとは・・・
  (BIAS回路の部品交換後です↓)
    

  BIAS回路の修理が完了したため、送信テストを行いましたが、さっぱりパワーがでません。
  さらに各部をチェックすると、ファイナル用50Vの安定化電源に使用されているQ8・2SC2922が、これまたECB全てショートしてました。
  ファイナルのIN側OUT側回路のTRが壊れたと言うことは、もしやご本尊も・・・
  (こんなどでかいTRがいかれるとは・・・↓)
   

  嫌な予感は的中し、最重要パーツであるMRF429MPもご臨終でした・・・。トホホ
  また写真では分かりづらいですが、R17,18の27Ωも焼けております。(なんとなく膨らんでるのがわかりますか)
   

  Q8・2SC2922ですが、こんなTRが手持ちにあるはずも無く、色々探しましたが近場では売ってません。
  幸い、同じサンケンの同等以上のスペック?である2SC3264がサトー電気にありましたので、購入し交換しました。
  これで50V安定化電源は復活しました。
    

  さて問題はファイナルです。
  秋葉のお店やオークションなどを物色しましたが、出物がありません。
  ケンウッドのサービスからの購入やUSAなどからの輸入となると、かなりのお値段を覚悟しないといけません。
  しばらく探していたところ、2エリアのOMさんから譲っていただけることになり、入手することができました。
  虎の子のMRF429を移植したのが下記写真です。
  某記事に従い、R17,18はTRの直近に配置しました。(発振防止効果でもあるのかな?)
  R17,18は、手持ちの関係で56Ωの2パラとなり、ちょっとカッコ悪いです。
  ちなみにMRF429の取付けですが、足を気持ちへの字に曲げてハンダ付けするのが良いようです。下記写真では分かりづらいですが、
 基板との間に隙間ができるため、次回、外しやすくなります。
   

  その後、サービスマニュアルに従いドライバー段とファイナル段のBIASを調整し、修理完了です。
  スペアナでスプリアスや信号波のスペクトルも確認しましたが、特に問題ありませんでした。
  ちなみにBIASの調整ですが、大変シビアであり、適当なところで妥協しました。Hi
  SENDにして10分ぐらい経過後、BIAS調整するのがベターなようです。
  (基板上の保護ヒューズは、今回切れてませんでした)