TS-600のレストア


  完動品ということで入手したTS-600ですが、いろいろありましてレストアすることになりました。
  軽く清掃するだけでコレクションに加わる予定だったんですがねえ〜
 
  


  ・ 現状確認
  とにかく感度が悪いというか、送受切替で感度が大きく変わります。
  また、バンドSWの50MHzポジションが使用不可となってます。
  そのため、51ポジションに50MHzの水晶を挿し、52に51の水晶挿して50MHzを使えるようにしています。
  ツマミがずらして取り付けられているため実用上は問題無いものの、気分よくないですよね。
  下の写真は内部の状態ですが、手前の水晶の右端(50MHzポジション)が空いてるのが分かりますでしょうか。

  

  こちらは底面ですが、特に問題ないようで・・・
  いや、AC入力コネクタ付近がなんだか煤けてますねえ。
  


 
・ 原因・対処
  AC入力周辺の煤けですが、背面パネルを外してみるとセラコン4個が黒こげでして・・
  ACラインのノイズフィルター用セラコンですが、経年変化でこうなったようです。
  もともと、耐圧に余裕がないような気もしないでもないですが・・
  

  
  手持ちの1000pF、1kV耐圧に変更しておきました。  
  

  バンドSWの不具合ですが、いろいろ調べた結果、バンドSWに直付けとなっている基板に実装されている47kΩ抵抗のイモハンであることが判明。
  この基板は、受信部と送信部の同調回路(バリキャップ)の基準電圧生成用でして、
 イモハンのため50MHzポジションに適切な基準電圧が生成されず、結果として使用不可になっていたようです。
  

  めでたく50MHzポジションが使用できるようになったのですが、さらなる問題が・・・
  写真の半固定は、先の同調回路バリキャップ用基準電圧をバンドごとに調整するためのものなのですが、ご覧のように経年変化でボロボロ。
  (この3個は送信回路用でして、受信回路用はなぜかまともでした)
  左のは、中点の金具が無くなってますし、真ん中は線をハンダ付けされ別のところに半固定が取付けられてます。
  一番右はそのまま上におんぶ状態です。 (前オーナーによる処置と思われます)
     
  
  基板を外すことができれば綺麗に交換できるのですが、バンドSW直付けのため、限りなく不可です。
  しかたなく、おんぶ方式で直付けしました。(こてがぎりぎり入る程度の場所なので、難儀な作業でした・・)
  ただ、おんぶ方式はオリジナルの半固定は電気的に死んでいただく必要がありますので、ニッパなどで抵抗体を破壊する必要がありますよ。
  これで、パネルのDRIVEボリュームが適切な位置で、感度最大、最大出力となるように調整できます。
  

  受信感度低下の件ですが、これはもう送受切替リレーの不具合ですね。
  実際、受信側接点の抵抗値を測ると、0オームには程遠い値を示しました。(値も一定ではありません・・)
  本来はこのリレーを交換するなり、接点を磨くなりする場面ですが、あいにくファイナル部をバラバラにしないと取り外せない構造のようでして・・
  壊す覚悟あればできますが、今回はあきらめ、アンチョコな方法でごまかしました。
  

  RF用の小型リレーを追加し、受信時の補助リレーとして動作させることにしました。
  アンテナラインへのリレー追加となりますが、まあ50MHzで10Wでしたら、それほど問題にはならないでしょう。
  結果はバッチリOKです。受信はこの追加リレーが担当し、送信は元からあるリレーが担当する方式です。
  

  送受切替はバッチリで、受信感度低下はもうありません。後は無線機テスターで調整し、最終確認です。
  受信感度は良いですし、プリアンプの動作やVFOの直線性も良好でした。
  


  ・ プリアンプ修理(追記)
  その後、調子よく動作しておりましたが、ある時、R-DX(プリアンプ)が動作していないことに気づきました。
  以前は動作良好でしたので、素子(2SC1117)の劣化を疑い、交換することにしました。
  オリジナルより互換品の2SC1070の方が手に入りやすかったので、こちらを手配し交換。
  バッチリ直りました。
  

  ところが、プリアンプON状態で送受信を繰り返していたところ、また直ぐに壊れてしまいました。
  そういえば昔、友達がTS-600のプリアンプを修理に出し、「直って帰ってきてもすぐ壊れると」嘆いていたことを思い出しました。
  NETで入手できる回路図は輸出仕様のためプリアンプの回路はのっていません。
  プリント基板を見る限りシンプルな1石アンプですが、素子を保護するダイオード等は実装されていません。
  そこで、写真のように、ダイオードでプリアンプの入出力に保護回路を追加してみました。(アマチュア的な実装方法ですいません)
  結果は上々で、いまのところ再発していません。
  もともと同じTS-600でもプリアンプ故障に見舞われない固体もありますので、送受切替の同軸リレーやプリアンプ基板のリードリレーの切替時間に
 微妙な個体差があるのではないかと疑ってます。