MULTI400sのレストア
中古で入手した福山のMULTI400sですが、送信はできるものの受信がNGなジャンク品でした。
開局した当時(70年代後半)、欲しかったモービル機でして、なんとしても直したいRIGです。
実はこれが3台目の入手で、過去の2台もジャンク品で、結局直りませんでした。(言い訳ですが、回路図が手に入らないのですよ・・)
・ 現状確認
送信できるが受信はできない。(両方できない方が直しやすいんですがねえ)
中を開けて見た感じでは、とくに異常は見受けられません。
写真上のシールド内がVCOで、下のシールド内が受信のRF/MIXのようです。
あれこれ調べた結果、PLL/VCOで作成されたローカル信号が、受信時出力されていないことが分かりました。
写真中央のRCAピンジャックからローカル信号が出力され、シールドケース内の受信MIXに入るはずなのですが・・・
・ 原因・対処
ローカル信号はPLL/VCOで生成されるのですが、どうもVCO(シールドケース内)の出力がないようです。
VCOを囲むシールケースは、基板裏側にもあり、壊す覚悟が無いと分解することができません。
そこで、部品取用(過去に買ったジャンク2台)からユニットごと移植することにしました。
結果はバッチリOKで、受信良好となりました。
喜びもつかの間。今度はなぜか送信が駄目になってしまいました。
ただ、パワーはほとんど出ないのですが、送信自体はしているようです。
そこで、先ほどの部品取用から、良さそうなファイナル部を移植することに・・・
その結果、めでたく送信パワーが復活しました。
しかし、この時代の福山は機構的な作りが良く出来ていますね。
ユニット間がコネクタで接続されているため、ユニットの交換がとても楽です。
全て直って動作良好となったのですが、数日後、電源を入れたら”バッチ”と音がして、送受不可になってしまいました。
写真の○で囲んだレギュレターがNGとなってしまいました。(この時点では原因不明)
レギュレターを交換し、作業完了かと思ったのですが、まだ何か変です。
レギュレターの出力を確認すると、電圧が低く不安定な状態。
電源OFFし、レギュレターの出力負荷をテスターで測ると、なんと数Ωしかありません。(ほぼショート状態)
結局、下の写真のとおり、小さなエナメル線のコイルとIFTのシールドが接触し、過電流が流れていたのが原因でした。
突き止めるのに、かなの時間を要しました。トホホです。
これでやっと送受信OKとなりました。その後、様子を見ていますが、大丈夫なようです。
部品取になってしまった2台も直したいところですが、回路図が入手できず困っています。
福山はとっくの昔にありませんので、
難しいですかね。どなたかありませんでしょうか?
・ もう一台の修理
1台なんとか直ったので、奮起してもう1台修理することにしました。
ほったらかしだったジャンク2台のユニットから使えそうな物をチョイスし、もう1台組み上げました。
送信はOKですが、受信がNGという、なんのことはない最初に修理したものと同じ状態ですね。
1台目はユニット移植で逃げましたが、今回はVCOのシールドを分解し、根本的に修理することにしました。
分解は困難でしたが、まあ壊してもいいや気分で行いました。
結果、写真のように、なんとかうまく外れました。ただ、基板裏のパターンはボロボロになりましたが・・・
受信時に発振しないのは、VCO回路の各部品が経年変化しているのが原因のようでした。
特に調整箇所もないため、同調コンデンサをトリマに交換したところ、発信するようになりました。
ただ、その状態でシールドケースをもとどおりに付けたら、また発振しなくなりまして・・・
とにかくシビアなようです。
仕方なく、シールドケースにトリマ用の穴を開け、外から調整できるように変更しました。
なんとか2台目も修理完了です。